商標の識別力:記述的商標について – 1

 

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

急に寒くなってきましたね。昨日から群馬に遊びに来ていますが、夕方の気温は4度でした。

 

今日は、商標の識別力について書いてみようと思います。

自社の商品又はサービスを他社の商品又はサービスと区別させることのできる商標の機能を、自他商品役務の識別力といいますが、商標法では、自他商品・役務の識別力のない商標は、原則として登録を認めていません。

識別力は商標の本質的機能であるからです。

 

たとえば、商品の産地や品質、サービスの提供場所などを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、記述的商標(ex. 「化粧品」を指定商品とする商標「ヒアルロン酸」)と呼ばれますが、このような商標を出願しても商標法3条1項3号に該当するとして拒絶されることになります。

しがって、記述的商標の場合は、拒絶を回避するため、文字をデザイン化するなど、「普通に用いられる方法で表示する標章」と判断されないような態様で出願するなど工夫をする必要があります。

 

では、下記の商標を見てみましょう。

むしなべ左記の商標は、エバラ食品工業株式会社が

商品「蒸し鍋用のたれ」(第30類)を指定して出願したものです。

 

 

 

審査では上記商標をその指定商品「蒸し鍋用のたれ」に使用するときは、「蒸し鍋に用いられるたれ」程の意味合いを理解させるにとどまり、単に商品の用途を表示したものにすぎず、商標法3条1項3号に該当するとして、

拒絶査定となりました。

 

出願人のエバラ食品工業株式会社は、これを不服として審判を請求しましたが、審判でも原査定は妥当であると判断されました。

当審の判断は次のとおりです。

・・・「蒸し鍋の」の文字を上段に、「たれ」の文字を下段に二段にして、文字の周辺に影を描き立体的に表した方法で書してなるところ、構成中の「蒸」の文字の草冠の横線を右側に伸ばし、噴き出す蒸気を想起させるよう描いてなるものであるが、文字を立体的に描いたり、文字をデザイン化すること等は、食料品を取り扱う分野の包装等において普通に行われており、かかる装飾の程度では特殊な態様よりなるものということはできず、むしろ、普通に用いられる態様の域を脱していない表現方法よりなる標章とみるのが相当である。

 

文字の装飾の程度が足りなかったようです。

今日は以上です。

 

※画像引用先:特許電子図書館

 

 

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

鈴木 徳子