商標「swatch」 vs 商標「zwatch」

 

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

三連休、いかがお過ごしでしょうか?

 

今日は、商標無効審決のご紹介です。

事案の内容は、下記(左)の登録商標 第5361516号(指定商品第14類「時計」)に対し、下記(右)の登録商標 第4730932号の権利者である有名時計ブランドメーカー、スウォッチが無効審判を請求したというものです。

Zwatch

SWATCH

 

 

 

 

 

無効理由としては、上の商標「zwatch」が自社の先行商標「swatch」 と類似し(商標法4条1項11号に違反)、また、「zwatch」は「z」という文字と、商品を示す「watch」の文字に分離されるが、「z」も「watch」も「携帯用の小さな時計」については、識別力がなく商標法3条1項3号に該当する、などというものでした。

 

審判では、「zwatch」は一体不可分の造語であり、「watch」のみを分離抽出することはできず、また、「zwatch」と「swatch」は称呼が異なる上に、外観も構成全体の印象が相当異なり、時と所を異にして観察しても十分区別可能な非類似の商標と判断されました。

したがって、スウォッチは無効審判で第三者の商標「zwatch」を取り消すことができませんでした。

 

この審決を読んだとき、カシオの「G-SHOCK」のことを思い出しました。

カシオは、「G-SHOCK」はもちろんのこと、「A-SHOCK」「B-SHOCK」「C-SHOCK」・・・「Z-SHOCK」まで頭文字AからZまで全てのアルファベットについて商標権を取得しています(指定商品は第14類「時計等」)。

さらに、ご丁寧なことに「Gショック/G-SHOCK」の上下2段書きの商標についても、「Aショック/G-SHOCK」「Bショック/G-SHOCK」・・・「Zショック/G-SHOCK」まで、上段の頭文字について全てのアルファベットの商標権を取得しています。

 

これは他人が「G-SHOCK」に類似する商標を使用したり、商標登録をするのを防止するための対策です。

有名ブランドになると、このような対応をしている企業が結構あります。

「SWATCH」についてはこの手の対応をしていなかったようですがね。

 

今日は以上です。

 

 

 

この記事を書いた人

鈴木 徳子