こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
昨日、先使用権の記事を書きましたので、今日は関連して混同防止表示について書いてみようと思います。
商標法32条2項では、商標権者又は専用使用権者に、先使用権者に対して混同防止表示の付加を請求する権利を与えています。したがって、先使用権者は自分が使用している標章の使用が認められても、商標権者の商標と区別する表示を付加しなければならない場合があります。
では混同防止表示とは、具体的にどのような表示なのか見てみましょう。
下記の沼津の鰻屋「うなよし」のウエブを見ると、「混同防止表示」とカッコ書きした上で「当店は、三島市緑町の『うなよし』とは営業上、組織上関係ありません。」と記載されています。これが、混同防止表示というものです。
ちなみに、この混同防止表示は、三島の鰻屋「うなよし」さんとの間で先使用権が問題になった結果の混同防止表示ではないようです。というのも、両者とも、商標「うなよし」の権利者だからです。沼津の商標(登録第3014763号)と三島の商標(登録第3012849号)は下記の画像をご覧下さい。
上記の混同防止表示は、サービスマーク導入時の調整措置としての(混同防止)表示だと思われます。
サービスマークは平成4年4月1日から導入されたのですが、6か月の間に既に使用しているサービスマークの出願が競合した場合は、いずれも重複登録されました。重複登録の権利者は互いに禁止権を行使できませんが、他方に混同防止表示を行うよう要求する権利が認められたのです。
ちなみに、三島の「うなよし」のサイトを見てみると、
「三島の水にこだわり、この地に創業して60余年。伝統の味に妥協はなく、のれん分けも一切しておりません。 同じ名前の蒲焼店もございますが、当店とは関係ございません。お間違えなき様 お願い申し上げます。」という記載がされていました。
今日は混同防止表示の事例でした。
以上です。
三島の「うなよし」 沼津の「うなよし」