こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
先日のニュースによると、伊勢丹が1958年から使用してきたタータンチェック柄の紙袋のデザインを55年ぶりに変更すると発表しました。新しいチェック柄は格子が大きくなり、色が明るくなっています。来月30日から使用が始まります。
現在の伊勢丹の紙袋のチェック柄は下記の態様で商標登録されています(登録第5241411号他)。
商標法では、原則として地模様(模様的なものの連続反復するものなど)のみからなる商標は、識別力がないという理由で登録を認めていません。
地模様のみから構成される商標を出願したときは、(識別力に関する登録要件の総括規定の)商標法3条1項6号に基づき拒絶されます。
上記商標も一度は、商標法3条1項6号を適用されて拒絶査定となりました。
しかし、出願人が拒絶査定不服審判を請求し、その結果、最終的に登録を認められております(不服2008-26580) 。
審判で、原査定を取り消した理由は次のとおりです。
・・・請求人である「株式会社伊勢丹」は、昭和31年に、終戦直後のベビーブーマーを対象とした「ティーンエイジャーズ・コーナー」をオープンし、該コーナーでタータンチェックの服や小物を扱ったところ、大変な人気であったことから、その後、本願商標を付したショッピングバッグ(以下「紙袋」という。)を作成し、以来、現在に至るまで、長期間にわたり、その紙袋を商品の購入者に手渡してきた事実が認められる。そして、その結果、本願商標は、請求人名称の一部を使用した「伊勢丹チェック」と称されるようになっており、その事実は、別掲2に示す新聞記事にも「伊勢丹チェック」の語が使用されていることからも明らかである。・・・
上記商標は、伊勢丹チェックと呼ばれるほど需要者に認識されていましたので、十分に自他商品の識別機能を発揮し得るものであると判断されました。
ちなみに、伊勢丹は、国内の百貨店としては初めて紙袋を導入したそうです。それがこのチェック柄ですから、当時は需要者に相当なインパクトを与えたのではないかと思います。
今日は以上です。
※画像引用先:特許電子図書館