こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
今日は昨日の記事で触れた商標法4条3項に関係する審決 (不服2007-33118号) のご紹介をいたします。
その内容は次のとおりです。
第43類「しゃぶしゃぶ料理を主とする飲食物の提供」のサービスを指定する商標「こぶ平」の出願が、審査で拒絶査定となってしまいました。
拒絶査定の理由は以下のとおり商標法4条1項8号に該当するというものでした。
⇒商標「こぶ平」は、本名「海老名泰孝」こと芸名「林家正蔵(九代目)」の以前の芸名「林家こぶ平」の著名な略称として、現在においても一般に広く親しまれているものであるから、他人の著名な芸名の著名な略称よりなる商標に該当し、また、本人の承諾も得ていないことから、商標法4条1項8号に該当する。
これに対し、拒絶査定不服審判が請求され、審判では商標法4条3項を適用して原査定の取消となりました。
商標法4条3項は、「商標法4条1項8号を適用するためには、その商標登録出願が、出願時において同号の規定に該当し、かつ、査定時(審決時)においても該当しなければならない」旨規定しています。
審判では、商標「こぶ平」の出願時点(2007年1月24日)において、すでに「林家こぶ平」さんは、新しい芸名の「林家正蔵(九代目)」を襲名しており、出願時点において、もはや、芸名「林家こぶ平」を名乗る者は存在しなかったことが明らかであり、その結果として、「こぶ平」の略称に該当する者も存在しなかったことになため、商標法4条1項8号に該当するとした拒絶の理由は妥当ではないとされています。
ちなみに、こぶ平さんが、九代目林家正蔵を襲名したのは、2005年3月21日です。林家正蔵さんは、昔からバラエティなどテレビによく出ていらっしゃったせいか、いまだに、私は「こぶ平」さんと認識してしまうのですが。。
今日は以上です。