こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
最近、めっきり涼しくなってきましたね。そろそろ衣替えをしなくてはと思っています。
さて、本題ですが、今日も引き続き名前について考えてみます。
商標法3条1項4号の規定は、「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は登録しないという規定でした。
したがって、田中や高橋のようなありふれた氏であっても、特殊な態様で表示されている場合や、識別力のある図形などを付加した態様で出願すれば、登録の可能性はグンと高まる
ことになります。
では以下の商標はどうでしょうか?図形部分はかなりありふれた図形であるようにも思えます。
審査では、図形部分が「ありふれた円輪郭内に仮名文字1字の『さ』を普通に用いられる方法で表した簡単かつありふれた標章」にすぎず、この図形とありふれた氏の「さとう」を組み合わせても全体で識別力が無いという理由で拒絶されました(商標法3条1項6号を適用)。
しかし、出願人は拒絶査定不服審判を請求し(不服2010-10913)、最終的に登録が認められています。
審判では、上記の図形部分が、のれんに記す商家の屋号に使用される記号(のれん記号)の一類型であると判断され、のれん記号は商標の持つ伝達力、すなわち、印象、記憶、連想等において、より一層重要な役割を果たすものであるから、十分に識別機能を発揮することができると判断されました。
今日は以上です。
※画像引用先:特許電子図書館